◇ 1000Hitキリリク絵 ◇












雑記帳」のみやさまから、 キリリク絵のお礼小話をいただいてしまいました!









「な、何するんですかっ!」
 顔を真っ赤にして怒鳴る。それがまた可愛らしくて、 彼女の腰にへばりついた銀髪の上忍はにまーと相好を崩した。
「あの、離してください……」
 相手が上忍だからなのか、彼女の性格なのか、セクハラされているイルカの方が遠慮がちだった。
「あの……」
「イルカ先生、駄目よっ! もっときつく言わなきゃ変態には通じないって!!」
「そ、そうだよ、セクハラだってばってよ」
「変態、離れろ」
 任務後、受付所へ向う途中の上司の暴走に引きつっていた子供達が、 我に返って口々にイルカを援護する声をかける。 なのにずうずうしい変態は離れようとする気配なんてまったくなく。
「やーだよっと。だいたいこれはセクハラじゃないんだよ」
 もっともらしく説教までしてくる。
「どこがセクハラじゃないのよっ!」
 戸惑って声も出せない元担任のためにサクラが声を張り上げた。
「んー? セクハラってのは嫌がる女性に無理やり触ったりすることでしょ?  俺は婚約者に触ってるだけだから、全然違うの」
「きゃー! 婚約者♪」
 さっきまでカカシを責めていたサクラの目が輝いた。こういうところは女の子、なのだが。
「こ、こ、婚約なんて、そんなことしてません。大体誰といつから……」
 イルカも必死に声を出した。
「もちろん、貴女が生まれた瞬間から、俺とに決まってるでしょ?」
 言葉は気障に、でも格好はイルカの腰にしがみついたままでは、全然かっこうよくもなにもない。 だが、それでもサクラの乙女心を揺さぶるには十分だったようだ。 元担任を守ることも忘れ、目をキラキラさせて、カカシに詰め寄った。
「うわー、それって生まれた時からの許婚ってやつなの?  カカシ先生とイルカ先生のご両親が知り合いだったとか? あー、カカシ先生のことだから、 赤ちゃんのイルカ先生に一目惚れして強引に婚約を取り付けたとかもありよね!!」
 やだぁもう、メルヘンゲット! 夢見る乙女にはことの真実はどうでもいい。
「サクラちゃーん、イルカ先生はカカシ先生に会ったのはこの間が絶対始めてだってばよ」
「親同士が知り合いって感じもなかったぞ?」
 先日の顔合わせの時の様子を思い出してナルトとサスケが突っ込むが、 サクラの耳はまったく届いていなかった。
「もう、そんなのどうだっていいんだってば。ね、ね、イルカ先生、ここまで情熱的に口説いてるのよ?  カカシ先生に応えちゃえば? そりゃ、変態だけど一応顔はいいし、稼ぎもいいし、多分お買い得よ?」
「一応ー? 多分ー?」
 サクラの援護射撃にカカシはちょっぴり不満そうに口をとがらかす。 だが、乙女パワー全開のサクラに睨まれて、小さくなった。もちろんその間もイルカの腰からは離れない。
「あの、いいかげん離れて……」
 サクラの勢いに押されていたイルカはカカシを腰につけたまま、じりじりと逃れるように後ずさった。
「駄目、駄目、駄目だってばよ。イルカ先生は嫁き遅れて俺がお嫁さんにするの!!」
 ナルトもわめく。サスケが顔を顰め、サクラもちょっぴり引きつった。
「ナルト、あんた、それって失礼よ」
 女性に、よりによって『嫁き遅れ』だなんて。見ればイルカも困ったような哀しそうな顔をしている。
「でもよ……」
 しゅんとしたナルトに悪気はなかったのだからとイルカが慰めの言葉をかけようと手を伸ばし……、
「だーいじょうぶ! イルカ先生は俺のお嫁さんなんだから嫁き遅れるなんてことは絶対なーいよっ」
 婚約者から一気にお嫁さん扱いに。空気の読めない変態がその雰囲気をぶち壊した。
「……………だいたい、先生が変態なことをするのがそもそもの原因なんじゃないのっ!!」
 『婚約者』マジックから目を覚ましたサクラが、ふるふると拳を握り締める。 ナルトとサスケもカカシを睨みつけた。
「だって、好きなんだもん」
 いじいじといじけるカカシを3人の部下は無視した。
「か、カカシ先生、いつまでも私をからかってないで、早く受付に行ってください。 私もまだ仕事がありますから、失礼します」
 いじけて多少拘束が緩んだ隙にイルカはようやくカカシを振り払った。
「あーあ、行っちゃった」
 ナルトが残念そうに呟く中、サクラとサスケは顔を見合わせていた。
「イルカ先生って……」
「絶対冗談としか思ってないな」
 さすがにカカシがしょんぼりしているのを見ると、今までの騒動も忘れて気の毒になってくる。が。
「イルカ先生って着痩せするたち? 見た目より絶対スタイルいい………」
「「………………」」
 手をわきわきさせながらセクハラなことを呟いていただけの上司を足蹴にし、 カカシをこれ以上イルカと接触させないよう、報告書も取り上げると、 わけのわかっていないナルトを連れて子供達は受付に向う。
 その日から、受付に入ろうとする上忍と、それを阻止しようとするその部下達との 攻防は木の葉の里の名物になった。












拙作に素敵な小話をつけてくださって、ありがとうございました!!
変態でセクハラな上忍がかなりツボです…(笑)。

↓さらには、別Ver.までも☆↓








「え? ほんと、本当に!? 冗談じゃなくて!?」
 呆気に取られた顔のカカシは立ち尽くしたままでイルカを見つめていた。
「じょ、冗談って、カカシさんが言い出したんじゃないですか」
「……でも、ずーっといい返事もらえなくて」
 顔を赤くしてうつむくイルカに、次の瞬間カカシは飛びついていた。
「カカシさん、ちょっと、何するんですか。他の人もいるんですよ」
 焦って叫ぶイルカの言葉も耳に入らない。
「やった。ほんっとうにいいんですね? 本当に俺と結婚してくれるんですね、イルカ先生!」
「だからそう言っているじゃありませんか」
 ぶっきらぼうな言葉も照れ隠しでしかなくて。カカシは満面に笑みを浮かべた。













イルカ先生お幸せに〜!
後者のVer.のイルカ先生可愛いですよね〜〜〜♥
こんな素敵小話が頂けるなんて! 己の描いた絵にお話が付くというのは、嬉しいものです〜。 かなり舞い上がって、こちらでも展示させていただく許可を勢いのままもぎとってしまいました。
しかし、リクエストをお受けしてから描き上げるまで、非常に遅くなってしまいましたが… 快く受け取ってくださってありがとうございます!!
しかも胸に顔埋めちゃってセクハラ上忍です…。

みやさま、どうもありがとうございました☆



ちなみに→「髪を下ろした女イルカ先生







2004.3.19