◇ 髪を下ろした女イルカ先生 ◇
![]() こちらもみやさまに捧げさせていただきました。 女イルカを描くに当たって39にいろいろ突っ込まれたので。 うがぁと頭を抱えた私は、髪を下ろしたイルカ先生は美しいハズだー!! と、勢いのままこれを描きました。 抱きしめたら壊れそうな…という感想をいただいて。 た、たしかに…っ。こんなイルカ先生、逆に怖くて触れられないかもしれないですね。 ………頑張れカカシ先生ッ!!(何の応援だ) こちらの絵にもみやさまから小話を頂きました(嬉)!! ↓ ↓ ↓ ポートレイト 「超レア! こんなのめったに手に入らないって!」 興奮気味の男の声に興味を持って、カカシはひょいと騒ぎの中心を覗き込んだ。 「………」 確かに男の言う通り、とんでもなくレア。プライベートはどうかわからないが、 いつも仕事中は一つにくくっているイルカの髪をといた写真だった。 「あんたたちねー、いいの、これ? 隠し撮りっしょ?」 上忍の素早さで、興奮して写真を見つめている男達から取り上げる。 「は、は、は、はたけ上忍……」 一瞬にして固まる男達に、カカシはにい、と笑ってみせた。 「で、イルカに渡すわけでもなく、あんたの夜のおかずになるっていうわけ?」 嬉しそうににまにま笑いながら写真を見ているカカシに紅が顔を顰めた。 「どっちにしても同じなら、まだあんたより他のやつらが持っていたほうがよかったんじゃない? 見せてよ。あら、本当に珍しいわよねー」 私にちょうだい、言うと、カカシは冗談じゃない、と写真を後ろ手に隠した。 だが、すぐに我慢しきれず写真を見始める。紅はため息をついてそれを見ていたが、ふと目を輝かせた。 だが、それをすぐに目の奥に隠し、できるだけ深刻そうな声を作る。 「カカシ、あんた、イルカがどうしていつも髪を結んでいるか知りたくない?」 「? なんかわけでもあるの?」 からかわれているにしては、紅の声は真剣だ。カカシは不安そうに顔をあげた。 「……………」 見ると、ふっと顔をそらされる。その横顔も何か辛いものを堪えているような雰囲気だった。 「ねえ、なんかあるわけ? 紅ー? 紅さん? 紅様っ!」 「………知っている人は少ないのよ……」 ぽつりと紅は呟いた。 「アスマも知らないわ」 「あの髭熊ってずうずうしくもイルカ先生の幼馴染なんだよね? その髭熊も知らない理由があんの?」 すっかり紅に乗せられて問い詰めると、紅は小さくコクンとうなずいた。 「ねえ、教えてくんない? お礼に秘蔵の地酒あげるからさ」 「その写真もちょうだい。もちろん先払いね」 深刻そうな顔はそのまま、ちゃっかり手を伸ばされる。 「えー、写真もー?」 それはやだ。思いつつもカカシは知る人の少ないというイルカの秘密が気になって仕方なかった。 紅がここまで深刻になる理由――。イルカの両親は早くに亡くなっている。 その思い出でもあるのだろうか。それとも昔の恋人に何か言われたとか……。 カカシはプルプルプルっと首を振った。イルカに恋人、そんなの冗談じゃない。 そんなもんがたとえ過去にでもいたのなら、地の果てまでも追いかけてぎたんぎたんにしてやらなければ! 髪を結んで偲ぶなんて哀しいことをイルカにいつまでもさせておくわけにはいかない。 元恋人の末路を教えてやって、優しく慰めて………。 妄想にふけっていたカカシは勢いよく顔をあげた。男らしくきっぱりとレア写真を紅に渡す。 約束の地酒も忍犬を呼び出して持ってきてもらう。 「さあ、約束通り、教えてくれ」 写真と地酒を手にして紅はにっこりと微笑んだ。 「あのね、髪がうっとおしいからなのよ」 「………………………………………は?」 「結んでないと、ぱらぱら落ちてきてうっとおしいんだって。だからいっつも結んでるのよ」 短くすると跳ねちゃって、それも嫌だし、結んでいれば髪形考えずにすむのも嬉しいらしいわ。 幻術で隠したのか、すばやくどこかに移動させたのか紅の手にはすでに写真も地酒もない。 カカシはぼんやりとその紅の姿を見つめた。 「別れた恋人とか遠距離恋愛の恋人とか、死んだ恋人とかに髪を結んでいる方が似合うよって 言われたとかじゃないの?」 紅は違う違うと首を振る。 「亡くなったご両親の形見の髪紐とか?」 再び紅は首を振った。 「夢見るのは勝手だけど、結ばないとうっとおしいから、それがイルカが髪をいつも結ぶ理由よ! わかった!?」 「……………………………………………………………」 俺のイルカ先生の写真……。カカシはぼんやりと呟いた。そんな大きな犠牲を払ってまで聞く話だったろうか。 あまりそうとは思えない。 「まあまあ、そんなに落ち込まないの。めんどくさがり屋さんだっていうイルカのお茶目な一面を 知ることができたじゃない? 知っている人少ないのよ? レア情報よ? 嬉しいでしょ」 さあ、今日は晩酌よーーー! 変態をやり込め、その手から無事に友人の写真を取り返した上、 銘酒まで手に入れた紅はご機嫌だった。後には真っ白に燃え尽きたカカシ。 「い、イルカ先生ったら、うっとおしいから髪を結んでるなんて可愛いなあ。あははははは」 小さく呟く声がいつまでも上忍控え室に響いていた。 みやさま、素敵なお話&アップ許可くださってありがとうございますっ! カカシ先生で遊びまくってる紅姐さんが格好いいです〜〜☆☆ やっぱり頑張れカカシ先生!!ですね〜。 おまけのような絵にまで小話をいただけるなんて…びっくりです。 本当にありがとうございました♪ 2004.4.1 |